総観客数100万人突破!専用劇場でのストレートプレイでは日本演劇界初の歴史的快挙 舞台で魔法に心を奪われる

映画監督/日本映画監督協会理事長 本木克英さん

このコンテンツは2025年1月1日に朝日新聞朝刊に掲載された広告です

映画監督/日本映画監督協会理事長 本木克英さん
もとき・かつひで/1963年、富山県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。87年松竹株式会社に助監督として入社。98年『てなもんや商社』で監督デビュー。主な監督作に『釣りバカ日誌』シリーズ、『超高速!参勤交代』『空飛ぶタイヤ』『シャイロックの子供たち』ほか多数。最新作は『カーリングの神様』。22年から日本映画監督協会の理事長を務める。

小説も映画も世界中で大ヒットした「ハリー・ポッター」シリーズ。その8作目がハリー・ポッターの19年後のストーリーを描き、舞台化した『ハリー・ポッターと呪いの子』です。 2016年にロンドンで開幕以降、世界6都市での上演も大成功。そして東京公演として開幕したのが22年7月のこと。 観客の95%が満足と絶賛するほど大好評で、いよいよロングラン上演4年目に突入します。 映像分野の専門家である映画監督の本木克英さんに本公演の魅力についてうかがいました。

最新技術を使いながらも イギリス演劇の伝統が光る舞台

ステージの様子

次々飛び出す様々な魔法 映像とは違う興奮と感動

映画「ハリー・ポッター」シリーズは魔法使いが活躍する壮大なファンタジー。魔法やアクションをどう舞台で表現するのか気になっていました。映像などの最新技術を駆使し、場面転換の動きが激しく派手な感じかなと勝手に想像していました。しかし、実際の演出はどちらかというと古典的。例えば、冒頭でもスーツケースやキャスト陣がまとうローブを使って駅舎内から列車内の場面へと次々に転換していきます。そんな具合に実にオーソドックスな演劇手法が用いられていて、シェイクスピアに代表されるイギリス演劇の伝統を感じるほどでした。もちろん、イリュージョンは満載で期待を全く裏切りません。ホウキや椅子が宙に浮かんだり、人が変身したり、暗転もないのに気づいたらシーンが変わったりと様々な魔法が舞台上で繰り広げられます。しかし、それらは実にさりげなく自然な感じなので、本当に魔法が起きているかのような錯覚を覚えるほどでした。その一方で、時空を超えるような見せ場では大々的にプロジェクションマッピングを使っていますし、闇の生き物ディメンターが舞い降りてくる登場で観客を驚かせます。とはいえ、これらも決してド派手に攻めた演出ではありません。つまり、舞台装置や演出は必要最小限にして最大の効果を発揮させています。なぜか。この世界観を作る上で最も大事なのは芝居だと分かっているからです。実際、キャスト陣の演技は見事としか言いようがない。これだけテンポが早く動きも多い中、全体の物語だけでなく、一人ひとりが抱える物語もしっかりと伝わってきます。

ステージの様子
ステージの様子

仕掛けが分からないほど照明と闇の使い方が絶妙

舞台演出で私が感動したのは「闇」の使い方です。例えば、魔法による戦いのシーンでは光線の攻撃を受けた人物が宙に浮いたり回転するのですが、どうなっているのか全く分かりません。おそらく照明を巧みに使うことで「闇」を際立たせ、それによって仕掛けが見えないのではないかと思いました。杖から炎が出たり、本物の水が登場するシーンも迫力があります。杖や舞台装置にいろいろな仕掛けがあるのでしょうが「闇」のお陰で全く分かりません。私はすっかり少年の頃に戻り、驚くたびに仕掛けをあれこれ想像して楽しんでいました。


ステージの様子

舞台ならではのエンタメ 存分に楽しんでほしい

本作の魅力の土台となっているのは骨太な脚本です。親子、家族、友だちなど様々な愛の形が細やかに描かれた人間ドラマであり、驚き、感動、笑いなどエンタメ作品に必要な要素が全て詰まっています。本作は「ハリー・ポッター」シリーズの原作者J・K・ローリングが自ら演出家のジョン・ティファニー、脚本家のジャック・ソーンとともに創作したオリジナル・ストーリー。これまでの「ハリー・ポッター」シリーズの要素も随所に散りばめられているので、映画や小説のファンも安心して楽しめます。上演時間は3時間40分と長いですが、驚きと感動の連続であっという間です。日本人の感性に響く作品。今年の観劇始めはぜひ舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』で、舞台ならではのエンタメを楽しんでください。(談)

HARRY POTTER PUBLISHING AND THEATRICAL RIGHTS © J.K. ROWLING / HARRY POTTER CHARACTERS, NAMES AND RELATED TRADEMARKS ARE TRADEMARKS OF AND © WARNER BROS™ Warner Bros. Ent.
写真:©︎ 渡部孝弘

文:いのうえりえ
企画プロデュース:株式会社案

ステージの様子

公演名 TBS, HORIPRO & ATG Entertainment present
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』

会場 東京|TBS赤坂ACTシアター