IDOL : IDOLS


左から中村舞、運上弘菜、山口綺羅

ガールズグループのメンバーが実名で架空のアイドルを演じる『IDOLS』プロジェクト。第3弾のキャストは、山口綺羅(Girls²)、運上弘菜(HKT48)、石田千穂(STU48)、中村舞(STU48)の4人に。過去2回は映像作品だったが、今年は8月に舞台を行う。『IDOLS~夢のシークエンス~』と銘打ち、80年代アイドルをモチーフにした演劇とパフォーマンスの二部構成。レアな組み合わせから何が生まれるのか? 顔合わせから間もないところで話を聞いた。(石田千穂は欠席)

10代とは思えない大人っぽさがありました

――弘菜さんと綺羅さんは『IDOLS』には第1弾から参加しています。お互いにどんな印象がありますか?

運上
綺羅ちゃんはすごくしっかり者です。初めて会ったときは17歳? そんなに若いとは思えませんでした。第1弾はLDH所属の2人と私だったので、最初はちょっと緊張していて。そういうときも綺羅ちゃんは積極的に話し掛けてくれて、逆に年上みたいだったり。信じられないほどきちんとしている10代だなと、思っていました。

――どういうところで、綺羅さんはきちんとしていると?

運上
お話ししていても大人っぽいですし、撮影でもHKT48にはいないクールさや落ち着きがあります。
山口
黙っていれば大人っぽいと言われます(笑)。Girls²では私は最年長組ですけど、その中ではキャピキャピしているほうなんです。いろいろなお仕事の現場では、お姉さん方もいらっしゃいますし、足を引っ張ったらいけない。それで普段より「しっかりしなければ」という意識は持っています。

――綺羅さんの弘菜さんの印象は?

山口
初めてお会いした第1弾では、どうしても私と同じ事務所の先輩が一緒にいて、なっぴさん(運上)が1人になってしまって。楽屋になっぴさんが入って来なかったりしたんです(笑)。
運上
人見知りなので(笑)。
山口
だから、お話しするタイミングがなかなかなかったんですけど、最初にご挨拶したときから、大人の上品さが溢れ出ていました。私にないものをたくさん持ってらっしゃるので、第1弾、第2弾を通して、すごく刺激を受けました。
運上弘菜(うんじょう・ひろな/HKT48)
1998年8月9日生まれ、北海道出身

初顔合わせでは1時間くらい何も喋らずに(笑)

――初参加の舞さんは、2人のことは知っていました?

中村
綺羅ちゃんは本当の“初めまして”でした。なっぴさんは同じ48グループで、コンサートですれ違ったりはしていたとは思いますけど、お話ししたことはなくて。フワッとしたオーラが漂う、やさしいイメージがありました。でも、『オールナイトニッポンX』で一緒にラジオをやったら、ちょっと毒舌なところが出てオーッと(笑)。そこもクセになる感じがして好きです。

――初顔合わせからの『オールナイトニッポンX』では、舞さんがずっと無言だったという話が出ていました。

運上
ラジオの前に4人で撮影をしていたんですけど、その日が初顔合わせで、結構近い距離で撮られながら、舞ちゃんは1時間くらい、何も喋らずやっていましたね(笑)。
中村
ハハハ(笑)。
運上
話し掛けても声を発さず、首を動かす仕草だけ(笑)。でも、だんだんと慣れてきてくれました。
中村舞(なかむら・まい/STU48)
1999年4月4日生まれ、愛媛県出身

役も毒舌で自分との共通点はありました

――『IDOLS』では本人役を演じますが、これまでの2回では普段の自分と重なるところもありました?

運上
私は近い感じがしました。役の運上弘菜が好奇心旺盛というより、自分の信念を曲げないのは、私の性格と合っている部分があります。

――劇中のように舌打ちしたり、人をバカ呼ばわりすることは(笑)?

運上
作品の中では、そういうシーンもありましたね。私もHKT48の中で毒舌というか(笑)、はっきり言う役回りではあるので、共通点は多いかもしれません。

――第2弾ではセンターへのこだわりが強い役で、「一度なったら、もう譲れなくなる」という台詞もありました。そういう気持ちも実際に持っていました?

運上
「譲れない」というほどのこだわりはないですけど、センターを二度やらせてもらって、その後も前列からは下がりたくないというのは、内心ちょっとありました。できる限り、ファンの方の期待に応えられるポジションでいたいと思っています。

アイドルもアーティストも変わらないと思います

――綺羅さんは「LDH的にクールな感じで売ってるんで」という台詞がありました。あれはリアルでした?

山口
LDHだからクールだけで売る、ということはありません。そういう縛りは特になくて、思うがまま素で活動しています。

――台詞では「私、アイドルじゃなくてアーティストなんです」とも言ってました。

山口
個人的かもしれませんが、「アーティスト」、「アイドル」には特に違いはないのかなと思っていて、
Girls²はアーティストとして活動していますが、アイドルと呼ばれても特になんとも思いません。

――劇中の「年下だからってナメんなよ!」のシーンのように、急にキレたこともないですか(笑)?

山口
キレることはないです(笑)。前回の役は明るく元気で、年下なりに若干負けず嫌いなところもあったと思いますけど、確かに負けず嫌いは私自身と似ているなと。だからと言って、「ナメんなよ!」とは言いません(笑)。

――綺羅さんの負けず嫌いは、どんなときに出ますか?

山口
Girls²ではセンターや立ち位置は曲ごとに変わるんですね。私はダンスを武器にしているので、他のメンバーが真ん中だと「次こそは私が!」と思うことはあります。

――「チキショー!」と思いつつ?

山口
というより「これが自分の実力か」と受け止めて、次はセンターに行けるように頑張ろうと、前向きに考えます。
山口綺羅(やまぐち・きら/Girls²)
2004年1月20日生まれ、長崎県出身

本人が別の設定にワープしてきた感じがしました

――舞さんは『IDOLS』の過去2作は観たんですか?

中村
どちらも拝見させていただきました。最初は「自分の役を自分で演じるって、どういうこと?」と思っていて。観たら設定や背景は実際とは違うけど、その中に本人がいて、ワープしてきた感じがしました。どこまでが本当の自分なのか? 役として演じるのは難しいと思いますけど、すごく引き込まれるものがあって、私も第3弾では頑張らなきゃと、気が引き締まりました。

――ああいうバチバチ感はリアルでした?

中村
STU48では、あんなバチバチはありません(笑)。
山口
私たちもないです(笑)。

――舞さんは演技をやりたい意欲はあったんですか?

中村
一度、STU48の「花は誰のもの?」のドラマMVで演技をやらせていただいて、楽しいと思いました。でも、難しさもすごく感じて、その後は挑戦できずにいて。今回の舞台で、難しいことをもう1回成し遂げられたらいいなと。

――あのドラマMVの合唱部員の役は、評判になりました。

中村
私が怒って「最悪!」と言う台詞があって。それを観て、お話し会で「俺にも『最悪!』と言って」というファンの方がいっぱい増えたんです(笑)。
山口
増えそう(笑)。言ってあげるんですか?
中村
「わかった。『最悪!』」って、その時期はめっちゃ言ってました(笑)。

――自分でドラマや映画は観ていました?

中村
好きです。『賭ケグルイ』みたいな感じの作品が面白くて。

――清楚なイメージの浜辺美波さんが、狂気じみた演技を見せていました。

中村
役に入り切っているのがすごいなと思いました。

演技でやり切る感覚はダンスと似ていて

――綺羅さんはダンスのイメージが強いですけど、もともとLDHのオーディションには俳優部門で合格したんですよね。

山口
そうなんです。アーティストになりたくてオーディションを受けたら、受かったのがまさかの俳優部門で、ドラマからスタートしました。

――それはどう受け止めたんですか?

山口
最初は「はいゆう?」みたいな(笑)。始めた頃は中学生で、演技の経験もなければ、ドラマもあまり観てなかったので、「どうしよう?」で頭がいっぱいでした。でも、稽古をいろいろしたうえでの撮影だったので。それがあったから、演技を好きになれた気がします。

――どこかで演技への意欲が高まったりも?

山口
最初はただ楽しいというだけでしたけど、年齢を重ねるごとに、やり甲斐をすごく感じるようになりました。ひとつの作品を成し遂げる。終わったあとの「やり切った」という感覚は、ダンスとすごく似ています。

――ダンスをやっている人は、お芝居のリズム感も良いと聞きます。

山口
確かに。私のお芝居にもリズム感が出てきたら助かります。

3グループから集まった楽しい雰囲気を

――弘菜さんは以前、アン・ハサウェイさんが好きだと話してました。

運上
ドラマより映画を観ることが多くて、アン・ハサウェイさんの『プラダを着た悪魔』とか好きです。影響を受けたというより、憧れが強くて。「素敵な人だな」と引き込まれて観ています。

――最近はどんな映画を観ました?

運上
何を観たか覚えてないくらい、いろいろ観ました(笑)。ちょっと前の映画ですけど、『グリーンブック』は何度か観返していて、最近もまた観て良いなと思いました。一番好きなのは『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』です。不思議な雰囲気で、観終わって考えさせられることも多くて。

――自分でも女優の仕事に意欲はあったんですか?

運上
『IDOLS』で初めて演技をちゃんとやらせていただいたので、まだお勉強中という感じです。周りから刺激をもらいながら、上手にできるようになれたら嬉しいです。

――演技に楽しさは感じていますか?

運上
第1弾、第2弾は準備の時間がたくさんあったわけではなくて、緊張しながらやっていて。まだすごく楽しいと感じられてはいません。今回は舞台で、しっかり稽古期間もあるので、3グループから集まった楽しい空気でできたらいいなと思っています。

松田聖子さんの歌を車で聴いていました

――第3弾でのそれぞれの役は演じやすそうですか?

中村
台本をいただいたとき、私は難しそうだなとちょっと感じました。自分と重ならない部分がたくさんあって、どうやって演じたらいいのか。まだ未知の世界です。
山口
私は常に視野を広げて気を張っているタイプで、今回の役柄もそういう感じなんです。普段自然にやっていることが、意識すると「どうすればいいんだろう?」となるところが多くて、難しいと思っています。
運上
今回は1人2役で、しかも、ひとつの役は80年代アイドル。私たちが生まれる前の時代ですし、お勉強をしないといけなくて。これまでの2回とはガラッと違うものになりそうです。

――80年代アイドルに馴染みはありました?

運上
お父さんが松田聖子さんのファンで、車でずっと流したりしていました。私が一番好きな曲は「渚のバルコニー」。苦手なカラオケで唯一歌えます(笑)。
中村
うちはお母さんが、よく松田聖子さんの曲を歌っていました。♪な~ぎさ~の~とかめっちゃ聴いていたので、馴染みがあります。テレビの懐メロ特集でも耳にしていました。

――今のアイドルとの違いは感じますか?

中村
別ものではないですけど、全然違いますね。今はダンスやパフォーマンスで、グループ全体の見せ方もすごく気にしながらやっていますけど、80年代はソロや2人組が多くて、歌がメインでしたよね。アイドル像から今とは違っていたと思います。
山口
私は80年代のファッション系は何となくわかります。今、ルーズソックスとかリバイバルで流行っているので。80年代の曲は知らなかったので、これから聴きます。

グループごとにファンの方の層が違っていて

――最初の撮影の合間とか、4人で話したりはしましたか?

運上
メイク中とか、ちょいちょい話しました。グループによってファンの方の世代が違う、とか。綺羅ちゃんたちは若い子が多い?
山口
ファミリー層の方がたくさんいらっしゃいます。

――ライブにお母さんと娘さんで来ていたり?

山口
そうです。最近は少しずつ同世代の方や大人の方も来てくださるようになってきましたが。ファミリー層の方々もたくさんいらっしゃってくれています。

――『ガールズ×戦士シリーズ』のドラマを親子で観ていた流れから?

山口
はい! 私たちGirls²が「ガールズ×戦士シリーズ」のドラマに出演していた頃から、ずーっと応援してくださる人がたくさんいらっしゃいます。

――HKT48では?

運上
40代、50代の方が多いですけど、60代、70代の方も若い女の子も来てくれたり、結構幅広いかもしれません。

――70代のファンの方もいるんですか。

運上
私の握手会に来てくれました。最近はずっと「欲しいものはないかい? プレゼントを送るよ」と聞いてくださって。「大丈夫です。何も要りません」と言っていたんですけど、バスタオルが届いていて嬉しかったです。
中村
私がHKT48さんのコンサートにちょっとお邪魔したときは、女性ファンの方が多い印象を受けました。STU48にもいらっしゃいますけど、やっぱり男性の割合が多いので。
運上
(矢吹)奈子さんが韓国から帰ってきたときに、女性の方が増えたかもしれません。IZ*ONEのファンの方は、ほとんど女性だったので。

トマトジュースをネットで定期購入してます

――『オールナイトニッポンX』で4人の共通点を探る企画がありましたが、その流れでうかがうと、皆さんはネットでお買い物はしますか?

山口
夏物のワンピースを買いました。洋服はネットで買うことが多いです。

――お店で試着とかはしないで?

山口
時間があって、たまたまお店に入って、いいのがあったら買いますけど、基本ネットです。手軽だし、実際に買った人のレビューが見られるので。自分と同じくらいの身長の方が書いたのを見れば、だいたい当てはまるので便利です。

――綺羅さんはオシャレなんですよね。

山口
ファッションは大好きです。たまに私服を「衣装?」と言われます(笑)。
運上
私はビタミンCのサプリを買いました。日焼けしてしまって、メイクさんにも「肌が結構焼けてる」と言われたので、すぐに欲しくて。そういうとき、ネットは便利ですよね。その場で注文して、次の日に届いて、すぐ飲みました(笑)。

――普段から、よくネットで買っているんですか?

運上
めちゃくちゃネットを使っています。トマトジュースを毎月、定期購入していたり(笑)。
山口
すごくビタミンを欲していますね(笑)。
運上
箱で買って、1日1本飲むんです。それと、炭酸水も定期購入していて。重たいものはネットで買うと、届けてくれるのもいいですね。
中村
私がネットで買うのはコンタクトレンズくらい。お買い物自体、そこまでしないんです。服もプレゼントでいただいたものなどを着ています。

――オシャレにこだわりはないんですか?

中村
まったくないわけではないですけど、貯金が趣味なので(笑)。
運上
面白い(笑)。
中村
今後の生活のために(笑)。この先、何があってもいいように備えておこうと。
運上
貯まっているんだろうね(笑)。
山口
私なんか、すぐなくなっちゃう(笑)。

4人のオリジナル曲にワクワクしてます

――8月25日・26日と『IDOLS』の舞台がありますが、他にもIDOLSの活動で楽しみなことはありますか?

山口
IDOLSのオリジナル楽曲ができるのが、すごく嬉しいです。普段別々のグループで活動している4人の曲は、どんなふうになるんだろう? 想像がつかない分、ワクワクします。

――シティポップブームの火付け役となったNight Tempoさんが提供という。

山口
大物の方なので期待大です。
運上
ずっと好きだった80年代のアイドルの曲も、Night Tempoさんがアレンジしてくださって新しくなっていくので、それを歌えるのも特別なことだと思います。普通なら揃うはずのない4人でステージに立つので、今からちょっと緊張もしますけど、楽しみですね。
中村
今回は映像でなくて舞台という形で、観に来てくださる方が目の前にいて。そこで演技をするのが、自分にとって新しい世界です。不安もありますけど、楽しみも大きいです。

――皆さんはライブには慣れています。

運上
舞台は全然違うと思います。千穂ちゃん以外は初めてなので。

――ステージ度胸はありますよね?

山口
どうなんだろう? でも、ないとここまで来れないんじゃないですか? 私はライブ前はメンバーみんなとハグしたり、背中を叩き合ったりしています。
運上
私は逆に、緊張したら人と一緒にいられなくて。自分の世界に入りたいので、誰とも話さず1人でいます。それで、本番直前は集中モードになります。
中村
私もめちゃくちゃ緊張しますけど、緊張も準備の1コかなと思って。とにかくできる限りの練習をして、自分を信じて、緊張したまま出ています。

同じフリフリ衣装で一緒に劇場に出てみたいです

――実際できるかどうかは別にして、IDOLSとして自分たちの発信でやりたいこともありますか?

運上
100%無理なことでもいいですか? 綺羅ちゃんにHKT48の劇場に一緒に出てほしい。
山口
エーーーッ⁉ いいんですか? 出てみたい!
運上
たぶん1人だけガラッと雰囲気が違って、パフォーマンスのレベルも超高いので、みんなビックリして刺激になると思います。綺羅ちゃんが48グループだったら、どう染まるのかも見てみたいです。
山口
できるなら衣装まで完璧に揃えてやりたいです。
運上
衣装も普段は全然違うからね。フリフリとか絶対ないよね?
山口
ないです。1回も。

――前回の劇中では、そういう衣装を嫌がるシーンもありました。

山口
あれはリアルじゃないです。普段着てないから、素直な気持ちで台詞は言えましたけど、すごくかわいい衣装だったし、ああいうのは好きです。

――この夏、他にも楽しみなことはありますか?

中村
私は家にいるタイプですけど、STU48で全国ツアーをさせていただくので、各地でのごはんも楽しみ(笑)。新潟には4年ぶりくらいに行くので、「イタリアン」という名物料理とか、いろいろなものを食べられるなと思って。福岡にも行きますよ。
運上
私は最近、キャンプを始めたんですね。ずっとやりたくて、メンバーは日焼けや暑さを嫌がって、なかなかできなかったんですけど、やっと地元の友だちと実現できました。楽しかったので、またいろいろなところでキャンプをしたいです。
山口
私も似てますけど、グランピングをしてみたくて。10代最後の夏なので、絶対やらなきゃですね!
  • Text/斉藤貴志
  • Photo/奏

INFORMATION

『IDOLS~夢のシークエンス~』

『IDOLS~夢のシークエンス~』

8月25日(金)・26日(土)/品川インターシティーホール

ソロアイドル全盛期の80年代、伝説のオーディション番組から結成された 4人組グループ、IDOLS。世の注目を集めながら、幻のデビュー曲と共に謎の失踪を遂げる。そして2020年代、突如 IDOLSのファンサイトが立ち上がり オフ会が開催された。偶然集まった4人の現役アイドル。それぞれがIDOLSへの熱い想いを語る中、1人のアンチがいることが発覚。彼女は言う。「あの人たちは、人を不幸にしたアイドルだから」。

公式HP< https://www.idols-project.jp/

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