IDOL : 須田亜香里


@JAMに親善大使として出演

夏の終わりを彩る大型アイドルフェス「@JAM EXPO 2023 supported by UP-T」が、13年目の今年、8月26日・27日に横浜アリーナで開催される。その親善大使を務めているのが須田亜香里だ。SKE48時代には「握手会の女王」と呼ばれ、選抜総選挙では2位にまで上り詰めた。昨年11月に卒業してからも、テレビやラジオに舞台など幅広い活躍を続けている。今回の@JAMの注目ポイントとアイドル卒業後の自身の変化などを聞いた。

自分の責任だけで話せて楽になりました

――アイドルを卒業してから、生活や気持ち的にどんなことが変わりました?

須田
何より変わったのは、以前は生活の中で言葉ひとつ取っても、グループのことが頭の中にあったんですね。卒業したら自分の責任だけで普通に話せるので、すごく楽になりました。

――アイドル時代は常に、SKE48のメンバーとしての意識があったわけですか?

須田
意識していたわけでなく、今考えたら、そういう感覚だったんだなと気づいたんです。たとえば「お酒が好きです」と言うだけでも、「アイドルなのに」「SKE48のメンバーが」と見えない枕詞が付いてきて。今はそういうのがないので、「飲んでます」と全然言えます(笑)。

――卒業前は「体力的に限界」とも話されていました。今は身体的には楽になりました?

須田
卒業直後に一度、体を壊しました(笑)。卒業の1~2年前から、ライブのたびに鍼治療に行かないと体が動かなかったくらい、SKE48は運動量がすごく多いんです。やめたら楽になると思っていたら、今度は体を動かさなさすぎて。1ヵ月くらい経って、背中が痛くてベッドから起き上がれない日が、2日間ありました。

――前日に急に運動したわけでもなくて?

須田
何もしていません。逆に、お休みでいっぱい寝たら、体を痛めてしまって。寝すぎても、むしろいけないんだと思いながら、高級な枕を買いました(笑)。そしたら、ちょっと良くなりましたけど、何かバランスが取れないんですよね。

アイドルの悩みは昔も今も変わらなくて

――アイドル界のことは、自分が卒業してからも気に掛けていたんですか?

須田
もちろんです。SKE48の後輩が今どう頑張っているのか。私がいたチームEはヒャダインさんたちに楽曲提供していただいて新公演が始まって、絶対観たいと初日に行かせてもらいました。あと、事務所のTWIN PLANETにLIVE PLANETというアイドルの部署があって。

――@JAMに出演するアキシブprojectなどが所属しています。

須田
そこのパフォーマンス・アドバイザーとして、ライブを観て思ったことをアドバイスしたり。自分のラジオ番組でも、アイドルちゃんに週替わりで来てもらって、お悩み相談をしています。

――13年間のアイドル経験を活かして。

須田
アイドルも時代に沿って新しい形になっていきますけど、悩みは意外と変わらないことも多いですね。たとえば「ファンの人の顔と名前をどう覚えたらいいですか?」とか「どうしたら卒業した後も頑張れますか?」とか。

――ファンの顔や名前は、須田さんはノートに書いてたんですよね。

須田
ノートに書いて覚えたり、それ以外にもたくさんテクニックがあります。後輩たちの悩みは自分も通った道だから、頼ってもらえると13年やって良かったと思えます。

後輩にアドバイスするためのデータは多めにあります

――SKE48の熊崎晴香さんも、写真集の撮影に当たり、須田さんに相談したとか。

須田
はい。相談してもらいました。体型維持に関しては、私はアイドル時代からいろいろやってきました。女性は25歳くらいから、同じものを食べても体型に違う現れ方をしたり、すごく変わるんです。だからレッスン場でも筋トレをして、みんなに教えたりもしていたので、たぶん熊ちゃんは私のことを思い出してくれたんでしょうね。彼女はもともとスレンダーで腹筋も割れているくらいなので、もう少ししなやかさを出したほうがいいんじゃないかと、自分が通っているピラティスをオススメしました。

――熊崎さんは、「おかげでお尻がきれいと言われるようになった」と話していました。

須田
良かったです。私はもともとクラシックバレエをやっていて、人の体型や骨格、バランスもすごく見るので、そういう部分も込みでアドバイスをさせていただいてます。体型維持でも食事でも衣装の着こなしでも、1人1人、合うことは違うんですよね。十人十色に沿ったアドバイスをするのは結構好きです。

――後輩たちに慕われてもいるようですね。

須田
慕われてはいませんけど(笑)、データはちょっと多めに持っていますから。

立ちたくて立てなかった憧れのフェスです

――親善大使を務める@JAMには、須田さん自身にはどんな思い出がありますか?

須田
それが私はタイミングが悪くて、出ていないんです。一度は確か他のライブと被って出演メンバーに選ばれなくて、次の年は出演メンバーに選ばれていたのですが、コロナ禍でタイミングが合わず。だから、私にとって@JAMは、立ちたかったけど立てなかった憧れの場所。未練が残っていたので、アイドルを卒業してから参加できて、すごく感激しています。

――他のフェスには出演してましたよね。SKE48のコンサートとは心持ちは違いました?

須田
全然違います。いつもMCで緊張した覚えがあって。SKE48を初めて観る人や久しぶりの人がいかに、「かわいいけど誰だろう?」「良い曲だけど何だろう?」とならないようにするか。私が卒業する2~3年前までは、年長メンバーでMCの構成を考えて、セットリストも組んでいました。スタッフさんにはわからない生感があるので。盛り上がりたくて来ている方が多い中で、喋りでどれだけ曲を削っていいものか。かと言って、まったく喋らないのも違うし。その案配を研究していました。

――フェスでは1ステージの尺が長くないだけに。

須田
だからこそ、メンバーの名前をどうアピールするか。何人かだけでも覚えてもらったら勝ちじゃないかと、いろいろなやり方を試しました。写真集を出したとかメディアにネタが転がっているメンバーをフルネームで呼んで、検索したら引っ掛かるようにしたり。

「まだいたんだ」と思ってもらえるのも嬉しくて

――パフォーマンスでは、他のグループと張り合う意識もありました?

須田
意外となかったかな。それより、元ファンだった人への見せ方ですね。48グループがAKB48とSKE48だけだった頃、本当にたくさんの人の青春の一部になれていたんだと、卒業してからすごくわかりましたけど、そういう人たちに「須田亜香里ってまだいたんだ」と思ってもらえるだけでも嬉しくて。そのために、昔と変わらないパフォーマンスをするのが腕の見せどころ。それも武器のひとつとして、同時に今の若いメンバーもいいねと思ってもらうにはどうするか。どんな熱量でどんな方たちにアプローチするのか、みんなで話し合っていました。

――今回の@JAMの出演者で、交流のあったアイドルはいますか?

須田
個人的にはいます。LIVE PLANETのアキシブprojectとDREAMING MONSTERは我が子のような仲間(笑)。あと、私はMBSラジオの『オレたちゴチャ・まぜっ!』が3年目で、共演しているヤンヤンガールズにもアイドルの子がいます。

――初日のメインステージのトリを飾るももいろクローバーZとは、同じ時代を駆け抜けましたが、接点はありました?

須田
少しありました。アイドルの数が今ほどなかった頃、当時のC.C.Lemonホール(渋谷公会堂)で4組のフェスでご一緒したり、『FNS歌謡祭』などで同じ会場で歌ったくらいですが、すごいなと思って見ていました。

少人数のグループは見せ方が違うなと

――ももクロのどんなところがすごかったですか?

須田
初見の人も巻き込んで楽しませるパワーと熱量を尊敬していました。こういうアイドルのあり方もあるんだなと。少人数のグループだと、1人1人が個としてこんなに立つんだという発見もあって、面白かったです。SKE48のような大人数グループとは、見せ方や個性が滲み出る過程も違います。

――今回だとつばきファクトリー、BEYOOOOONDS、OCHA NORMAらが出演するハロー!プロジェクトのことは、どう見ていました?

須田
レジェンドですね。私はモーニング娘。さんを見て育って、憧れだった曲が今も受け継がれていますよね。OGの方も、現役メンバーたちがすごいとおっしゃっていたり。そういうふうに伝統が美しく継承されているのが、いいなと思います。

――須田さんもSKE48のレジェンドになりました。

須田
いや、全然。SKE48の黒歴史にならないように(笑)、今のお仕事をしっかり頑張ります。

キャラクターとして突き詰めているのが面白いです

――他に今回、須田さんが注目している出演者はいますか?

須田
いつも深夜ラジオでご一緒しているアイドルたちが歌って踊る姿は、私には新鮮だったりします。バラエティやトークでのみんなしか知らないので、本業の顔が見たいですね。あと、気になるのは×純文学少女歌劇団。メンバーの奥村優希ちゃんと舞台で共演して仲良しですけど、やっぱりグループでの舞台やライブはまだ観たことがなくて。畑美紗起さんもラジオでご一緒してました。

――×純文学少女歌劇団は元ラストアイドルのメンバーらで、ミュージカルとライブによるステージを行っています。

須田
全員、役名と別人格を持ってやってるのが、面白いなと。最近、本名のアイドルが減ってませんか? グループを移って第二のアイドル人生を歩む子もいて、そのときに名前を変えたり。私は自分自身でアイドルと向き合ってきましたけど、キャラクターとして突き詰める今のアイドルを見るのは、新たな楽しみのひとつです。

――先ほど「アイドルの悩みは変わらない」という話がありましたが、若いアイドルに昔とは違う部分もないですか?

須田
いろいろなあり方が許されてきましたね。昔はアイドルといえば黒髪ロングが基本とか恋愛は絶対ダメとか、暗黙のルールがあって。今は時代的に1人1人の自由度が高くなって、様々な価値観が認められて、アイドルもその流れに対応してきました。だけど、個性を出すのもまた挑戦で、髪色ひとつ取っても悩んでいる子はいますし、葛藤の中で切り拓くのが今っぽくて。あえて王道を行くアイドルがいたり、誰がどういう考えで自分のキャラ設定をしているのか、時代が現れているなと思います。

情報を持ちすぎずにフラットに見たいです

――親善大使としては、@JAMの当日はどんなことをするんですか?

須田
オープニングの開会宣言をさせてもらったり、裏でいろいろなアイドルと交流したり。@JAMは楽しいな、素敵な子がたくさんいるな……というところを、たくさん㏚する役割を任せていただいてます。

――何か事前の準備はするんですか?

須田
しないほうが、フラットに見られていいかな。今はインスタで流れてきた子を押すと「アイドルなんだ」というときもあって。SNSでバズって武器を得たアイドルもたくさんいる分、情報を持ちすぎずにいきたいです。昔はSNSがなくて、生で見て素敵だと思ったら、ブログに辿り着いたりしてましたよね。

――テレビで見なければ、現場が入口でした。

須田
私は古い人間で(笑)、現場派なので、そういう見方が合っているかなと思います。

――来場者もそういうふうに、先入観なしで観るのもアリですかね。

須田
昔ながらのアイドルの楽しみ方もいいですよね。

――須田さんはトークステージにも出演されるそうですが、自分で歌ったりはしないんですよね(笑)?

須田
オファーはもらってないです(笑)。事前にお伝えいただければ全然歌いますし、踊りますけどね。

歌と踊りを同時にするのは客観的に尊敬します

――13年間アイドルをやってきたら、卒業しても踊りたくなることもありますか?

須田
私は13年かけても、歌と踊りを同時にやることは慣れませんでした。アイドルの前からクラシックバレエをやっていて、踊ることは好きです。2年前にギターを始めて、歌も楽しくなりました。ただ、私の中で歌とダンスは離れているんです。アイドルは歌って踊って、ライブならお客さんの目も見ないといけない。同時に何コもやるのは難しいです。

――それを須田さんは13年やってこられたわけですが。

須田
頑張っていたなと思います(笑)。アイドルを客観的に見ると、器用なことをしているなと、尊敬のまなざしです。今の私は「踊りたい」と「ギターを弾きたい」が別々の願望としてあります。

――部屋で踊っていたりもしますか?

須田
してないです。けど、アイドルをやめてから念願の舞台に出させてもらって、アクションもあったので、ダンスもやりたいぞと。それでポールダンスにも挑戦させてもらいました。

――主演した『Bumblebee7』ですね。観させていただきましたが、殺し屋の役でカッコ良かったです。

須田
拳銃も使いました。新しい筋肉を付けたりもしましたけど、音に合わせて体を動かすということで、アイドルをやっていたからこそ繋がっていました。やっぱり体で何かを表現することが、私の生き様かなと思ったりします。そんな場が得られるように、頑張りたいです。

男女でごはんを食べて「これが人生だ」と(笑)

――プライベートでは、アイドル時代にできなかったこともしていますか?

須田
単純に男性を男性として見られるようになったかもしれません(笑)。

――前はどう見ていたんですか?

須田
生き物(笑)? わかりませんけど、男友だちを作ってもいいのは新鮮な感じがします。アイドル時代は、恋愛ではなくても、男性と仲良くするのは罪悪感がありました。これも裏切りと思って悲しむ人がいるのかなと。人間らしく生きようとすればするほど、モヤモヤしましたけど、今は別に悪いことではないという感覚になりました。

――実際、男友だちと飲んだりもしているんですか?

須田
人並みにはありますけど、普通に友だちとご飯を食べたりしていると「これが人生だ」と思います(笑)。すごくキラキラしているように感じますね。

――公私共に充実しているわけですね。

須田
充実させないと、バラエティでも文章を書くお仕事でも、何も生まれてこないんです。とりあえず、人としていろいろな経験をしたいなと思っています。

悩みを乗り越えてこそお守りが増えるので

――SKE48の卒業前には、囲み取材で「表参道で手を繋いでデートしたい」という発言もありました。

須田
言ってましたね。そこはこれから頑張ります。でも最近、いつ恋人ができて同棲を始めてもいいように、家の中を整理しています(笑)。ものが多いので、引っ越しをしやすいようにしておきたくて。いつかお嫁に呼ばれたときのために、お料理もちょっと頑張っていますし、そういうイメージができるようになったのも、卒業したからですね。

――差し当たっては、現役アイドルたちが頑張る@JAMの盛り上げをお願いします(笑)。

須田
アイドルは続けることが一番難しいんです。やめることはいつでもできる。いろいろな悩みと向き合っていく場でもあるし、その悩みを乗り越えてこそ、これから先の人生でお守りになるものが増えると思います。そんな今を頑張っているアイドルたちの姿を、ファンの方たちと一緒に楽しみたいです。
  • Text/斉藤貴志
  • Photo/厚地健太郎

INFORMATION

須田亜香里(すだ・あかり)

須田亜香里(すだ・あかり)

須田亜香里(すだ・あかり)
1991年10月31日生まれ、愛知県出身。
2009年にSKE48の3期生オーディションに合格。4thシングルから選抜入りを続け、チームEのリーダーを務める。2018年の選抜総選挙で2位に。2022年11月に卒業。
現在テレビ、ラジオにてレギュラー7個、中日新聞でも連載を持ち、舞台、ドラマへも出演するなど多方面で活躍中。

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須田亜香里

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