ロミオ&ジュリエット
舞台『ロミオ&ジュリエット』
長谷川慎 ✕ 中尾暢樹 ✕ 石川凌雅 ✕ 京典和玖 インタビュー

シェイクスピアによる不朽の名作『ロミオとジュリエット』が、2023年1月28日よりBunkamuraシアターコクーンで上演される。これまで多くの演出家や俳優によって演じられてきたドラマチックな物語が2023年の今、どのような愛の形を見せてくれるのか? ロミオ役の長谷川慎、ティボルト役の中尾暢樹、ベンヴォーリオ役の石川凌雅、マキューシオ役の京典和玖にたっぷりと話を聞いた。

僕らにしかできないオリジナリティのある内容になると思います。(長谷川)

ーー『ロミオ&ジュリエット』に参加される今のお気持ちをお聞かせください。

長谷川慎 (ロミオ役)

まさか自分がロミオを演じる日がくるなんて思ってもいなかったので出演が決まったときは素直にびっくりしました。歴史が深い作品ですし、過去に多くの俳優さんが演じられている役なので、看板を汚さないよう、いろいろなものを背負って演じたいと思います。

中尾暢樹 (ティボルト役)

今回、はじめてのシェイクスピア作品への出演となります。シェイクスピアの作品を観るたびに思うのが、その作品ごとに演出家やキャストの色があるということです。今回も現代的になるとか、演出家の意図をいろいろ伺っているので、あまり身構えずに素直にやろうと思っています。

石川凌雅 (ベンヴォーリオ役)

去年、(ミュージカル版の)『ロミオ&ジュリエット』を観たのですが、そのときの感想が「カッコいい」でした。歴代の良さを継承しつつ、僕らなりに新しい色のカッコよさを突き詰めていければと思っています。

京典和玖 (マキューシオ役)

歴史ある『ロミオ&ジュリエット』に出演させていただくのは光栄です。舞台に出演するのはまだ2作目で緊張と不安があるのですが、それも楽しみながらやれたらと思います。エネルギッシュな熱量を持ってシェイクスピアに挑んでいけたらと思っています。

ーー今回の『ロミオ&ジュリエット』は、『もののけ姫』の舞台版をロンドンと東京で上演したアレクサンドラ・ラターさんの演出によるものです。どんな『ロミオ&ジュリエット』になりそうですか?

長谷川

まだ稽古がはじまったばかりですが、ジュリエットとのエモーショナルなダンスシーンがあったり、僕らにしかできないオリジナリティのある内容になると思います。

中尾

本番はどうなるかまだわかりませんけど、ジュリエットが革ジャンを着ているとか、お嬢様っぽいイメージじゃなく、強い部分もある女性になると聞いています。なので、あまり既存のイメージを持たないほうがいいのかなと思っています。

ーージュリエット役は北乃きいさんです。

長谷川

まだ3回ほどしかご一緒できていないのですが、ジュリエットのセリフが役を通り越して入ってくる瞬間があって、長谷川慎としてもキュンとくることがあります。凄く良い経験をさせて貰っていると感じています。

役が染み込んでいけば舞台上で凄く綺麗な表現にできると思います。(石川)

ーー台本を読まれた感想は?

石川

古典的な言い回しがあるので、「覚えられるかな?」とも思ったのですが、読めば読むほど自分のなかでイメージがしっかり湧いてきて、このまま役が染み込んでいけば舞台上で凄く綺麗な表現にできるんじゃないかなと思っています。

京典

本読みをしてみて、前半はポップでコメディな感じで進んでいくのが、誰かの死をきっかけに後半がダークな感じになっていく落差が面白いと思いました。まだ稽古ははじまって間もないですけど、本番までにしっかり落とし込んで楽しくやれればと思っています。

中尾

けっこう本読みの段階で質問とかが飛び交っているんですよね。シェイクスピアの詩的でリズム感のあるセリフって現代的な言い回しじゃないので、そのバランスをどうしましょう? とか。それに対してアレックスさんが「私の頭のなかに全部あります」と言ってくださる。で、それを聞いて「そうか」と安心感がありますし、楽しみです。

長谷川

アレックスさんの台本は日本語と英語で書かれているのですが、日本語の解釈だとこうだけど、英語だとこうだから、こういう風に言って欲しいというようなやり取りはあります。ひとつひとつのセリフを読み取って解読して、自分に落とし込んで言うのがめちゃくちゃ大変だなと思っていますね。

ーー役作りとしてはいかがですか?

長谷川

僕の中では(レオナルド・)ディカプリオさんが演じた映画『ロミオ+ジュリエット』のイメージが強くて、ロミオを演じるからにはあれくらいカッコよく演じたいなって思っています。僕がこれまで生きてきた人生や、自分が感じてきたもの、アーティストとして受けてきたものを表現したい。アレックスさんからは、ダンスのアプローチも取り入れたいと聞いているので、逆にそこは普段の自分がやってきた活動を活かしつつ、自分の生き方がにじみ出るロミオを演じたいと思っています。

京典

マキューシオって『ロミオ&ジュリエット』の世界のなかでは、ぶつけようがないエネルギーを持っている人物だと思っています。やんちゃで短気だけど、そのなかに寂しさや孤独感を持っている。実は繊細な人物だなと思うんです。そこをじわっと伝えられるといいと思っています。

中尾

ティボルトは、血気盛んでケンカ早い男。そういう役ってけっこう好きなので、“やってやる!”って思っています(笑)。そのうえで、ティボルトなりの正義感やキャピュレット家に対して思っていることやロミオとの関係性をどう出していくか? 稽古でどんな感情が湧き出てくるのかを今は楽しみにしています。

石川

僕が演じるベンヴォーリオは、モンタギュー家の一員なので、長谷川さんと(ロミオ役)と京典さん(マキューシオ役)とコミュニケーションをたくさん取ることだと思っています。いちばん中立的な立場でもあり、いつでも冷静で両方の物事を考えるキャラクターで、そのためには満遍なく理解していないと演じられない役だと思います。意志の疎通が取れていれば自分の役以上に影響を及ぼしたりもできると思うので、これからコミュニケーションを密にしていきたいと思っています。

中尾

あれ? 俺は仲間に入っていないの?

石川

暢樹くん(中尾)はキャピュレット家だからなあ。台本の最初からバチってるんで! ホントに嫌いになるかも(笑)。でも、本当はティボルトも大好きですよ。

中尾

(笑)

周りから止められてもヤメられないのは、稽古前のニンニク!(中尾)

ーー『ロミオ&ジュリエット』は、周囲から反対されても恋を成就させようという若者の姿が描かれる物語です。みなさんにとって周囲から止められてもやっちゃうことや欲しかったものとはなんでしょうか?

中尾

パワーを付けるために摂取する稽古前のニンニク! あれは止められてもヤメられない。

石川

ハハハ。それは僕もだなあ~。暢樹くんの答えの後に言うのは照れますけど、芸能の道ですね。僕は大学を卒業するタイミングで芸能をはじめたので、「なんで大学に行ったの?」って言われたりもしましたけど、やっぱり見たかった景色とか、立ちたかった舞台があったので、それは反対されても実現したかった。うん。進みたかった道ですね。

京典

“スーパーボール”です。駄菓子屋さんとかにありましたよね? あれが欲しすぎました。

石川

あった! くじになってるやつね。

京典

そうそう。たくさん持っているにも関わらず、こんなにいらないだろうってくらい持っていました。

長谷川

う~ん。なんだろう。僕はけっこう頑固で、反対されるとかの次元じゃなく、押し切っちゃうタイプなので、欲しい物があったら買ってましたね。服とかフィギュアとかが好きなんですけど、「たくさん持ってるからいらないでしょ?」って親に反対されても買っていました。

ーー親の反対を押し切るあたり、すでにロミオ的ですね。

長谷川

そうなっちゃいますね。そのうちに反対されなくなりましたね(笑)。

ーー『ロミオ&ジュリエット』をご覧になる方にメッセージをお願いします。

長谷川

『ロミオ&ジュリエット』は過去にもたくさん描かれてきましたけど、このメンバーでしかできない、それぞれが抱いている、それぞれの歩んでいる人生とか、にじみ出る新しい作品になると思います。みなさんぜひ、見に来てください。

(インタビュー・文/高畠正人)

公演名 ロミオ&ジュリエット

会場 Bunkamura シアターコクーン

公演日程 2023年1月28日(土)~2月12日(日)

■公演公式ホームページ
https://www.randj2023.com/

■お問い合わせ
Mitt 03-6265-3201(平日12:00~17:00)