子供から大人まで感動できる優しいお話が魅力の作品

ーーまずはお話をいただいた時の思い、意気込みを教えてください。

石田

小さい子とお仕事をする機会も多く、すみっコぐらしはよく見かける存在でした。出演が決まった時、周りの人からすごく驚かれたし「絶対見にいく！」という声も大きくて、それくらい人気があるんだ、すごいなと改めて認識しました。僕自身も、早くお見せしたいなとすごく楽しみになりましたね。

川島

嬉しくて、「やった！」と思いました。でも、すみっコが好きな友だちから、「すみっコたちは喋らない」と聞いて、「どんなミュージカルになるんだろう？」と。「すみっコたちとお客さんをつなぐ役なのかな？」とワクワクしていました。

ーー原作となる「映画 すみっコぐらし　とびだす絵本とひみつのコ」の魅力はどんなところに感じましたか？

石田

魅力はたくさんありましたが、誰もが知っている童話をモチーフにしているわかりやすさプラス、お友だちへの優しさが描かれていて感動しました。相手の気持ちに寄り添いたいという想いに共感します。あと、「日の当たるところにおいでよ」じゃなくて「一緒にすみっこにおいでよ」というところが面白いし、魅力に感じました。

川島

冒険のお話かと思ったら、いろいろなお話が詰まっていて、さらにそれが繋がって１つのお話になるのが面白かったです。初めて見た『すみっコぐらし』で号泣するとは思っていませんでした（笑）。それぞれのキャラクターの生い立ちや情報も深いし切なくて、そのコたちが支え合っているのも可愛くて素敵でした。

ーー舞台化する上で楽しみなこと、原作で好きなシーンはありますか？

石田

いろいろな世界を行き来するので、舞台で再現するのは大変だなと感じました。子供たちが飽きずに楽しめるように、大変な姿を見せずハッピーにやるのが第一かと思います。あと、パーツの塔をどう作るか気になります。

川島

好きなのは赤ずきんのシーン。とんかつが「食べてくれるの？」と言うところが切なくて可愛くて好きです。舞台で楽しみなのは、お客さんがその場にいることです。すみっコたちの可愛い世界も楽しみだけど、お客さんと一緒にどんな世界を作れるのか。すみっコたちとお客さんの架け橋になるのが私たちの任務だと思うので頑張りたいです。

石田

我々は特にそうだよね。お客さんの想いを代弁するようなポジションなので、夕空ちゃんともちせちゃんとも仲良くやっていきたいです。

キャストもスタッフも気合充分なカンパニー

ーー舞台版の見どころはどこになりそうでしょうか。

川島

ミュージカルになるといろいろ変わるのかなと思っていたけど、原作にすごく忠実です。映画に歌をプラスしてより良くしようというスタッフさんたちの想いを感じるので、個人的には歌に注目してほしいです。あと、びっくりしたのはパペットのこだわり。すみっコたちが主役なので、すごく丁寧に作られていて見どころです。

石田

それに加えて今回は生演奏。スタッフ陣も気合いが入っているのを感じます。みんなで作っていくのはどの舞台でもそうですが、みんなで試行錯誤して協力しながら、作っていく未来が見えています。

ーー歌やナレーションを担当するかと思いますが、声の表現でこだわりたいこと、公演に向けて伸ばしたいスキルはありますか？

石田

ナレーションといっても、映画とは違って僕らがそこにいるので、身体表現も必要になると思います。夕空ちゃん、ちせちゃんとのコンビネーションも楽しんでもらえたら嬉しいです。もちろんパペットも素晴らしいですが、「ここは人間で表現してほしい」という部分も出てくると思うので、お互いに役割分担をして積み重ねていけたらと思っています。

川島

私は人生で初めてのミュージカルです。不安もありますが、生で歌うからこそ、抑揚をつけられたり感情を乗せられたりすると思うので、表現力を磨いて頑張りたいです。

ーー川島さんから舞台への出演経験が豊富な石田さんに聞きたいこと、石田さんからのアドバイスはありますか？

石田

この質問いやです（笑）。僕からはとにかくハッピーにやろうっていうくらいです。

川島

一番意識していること、舞台だからこそ気をつけないといけないことはありますか？

石田

今回のようにストーリーテラーのような役をやる時は、お客さんの笑いや拍手などの反応を見てセリフのテンポを考えるようにしています。あとは、ライブを楽しむようにしているかな。僕は楽しんでお芝居をするのが大好きだから、お客様にも一緒に楽しんでもらいたいです！

かわいい人形になったすみっコたちを見てほしい

ーーパペットを使ったお芝居の魅力、注目ポイントを教えてください。

石田

僕が初めてパペットのお芝居を見たのは、『ウォー・ホース ～戦火の馬～』でした。少年と馬の成長物語で、人がブリキの馬を動かしているんですが、尻尾や耳で感情が伝わってきて泣いてしまいました。すごく滑らかに動いていて、そこで改めてプロの技術を感じました。舞台「よんでますよ、アザゼルさん。」で人形劇団ひとみ座さんとご一緒した時も同じくらいの技術とこだわりがありました。しんどい体勢なのにそれを感じさせないんですよ。ひとみ座さんが動かす、かわいい人形のすみっコたちを見に来てほしいですね。

川島

今回はまだお稽古がそこまで進んでいないのでわからない部分もありますが、注目してほしいのはひとみ座さんたちによる人形になったすみっコたちの動きです。キャラによって、目がキラキラしたり手が動いたり口が開いたり、動く部位が違うんです。キャラクターにあった造形で、それぞれの個性と可愛さを見てほしいです。

ーーすみっコたちの友情が描かれている作品にちなんで、友だちとの思い出深いエピソードがあったら教えてください。

川島

小学校の時、長期の撮影で2ヶ月ほど学校に行けなかったんです。私がお願いする前に友だちが（休んでいた間の）ノートを机に置いてくれていて優しさを感じました。中学生になってからも撮影が大変な時期があったんですが、休んだ間の勉強を友だちが教えてくれたり、気持ちに寄り添ってくれたりして。さりげない優しさがすごくありがたいと思いました。

石田

いいエピソード！　自分のことをわかってくれる友だちってありがたいよね。僕はコーヒーや紅茶が飲めないんですが、それを知っている友だちが、飲み物を買ってくるときにオレンジジュースにしてくれたのを思い出しました（笑）。

ーー最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

石田

すみっコたちに共鳴する場面がたくさんあって、僕たちがそのシーンを体現していく役割を担っています。大人も童心に返って楽しんで感動できる作品だと思います。この夏はぜひ、すみっコたち、僕たちと友だちになりにきてください！

川島

歌の練習では、「きっとこの歌はお客さんがこうのってくれるだろう」「こんなふうに盛り上がってほしいからこうしてみよう」と、お客さんと一緒に作っていくための方法を考えています。可愛い世界観を隅々まで見てほしいですし、歌のシーンでは私たち人間キャストと一緒にすみっコの世界に入り込んでほしいです。いい意味で毎回違う舞台の世界を楽しみにしていてください。

（インタビュー・文 / 吉田沙奈）
© 2019⽇本すみっコぐらし協会映画部／⽇本すみっコぐらし協会演劇部